熱帯夜



窓の外走る何台もの車
涼しげなドライバー 何故か憎らしくて
コーラの空き缶投げつける
そんな姿を笑う君はいない

小さなことで言い争った日々
懐かしんでも仕方ないけれど
君の背に合わせた鏡覗けば
暑さに紛れくすんでゆく心映し出す

扇風機の風さえ生暖かい
一人の部屋 妙に広すぎて



「こんな気持ちのまま眠れやしないよ」と
独り言呟いてシャツを脱ぎ捨てる
君が今ドアを叩いたら
今すぐにでも抱きしめられるのに

「女々しいね」って笑っておくれよ
そうでなけりゃ堕ちてしまいそうさ
君の背に合わせた鏡残して
この部屋を出る勇気さえ見つからない俺さ

扇風機の風さえ生暖かい
一人の部屋 妙に広すぎて